プルトニウムの毒性に関する専門家の見方
プルトニウムは特別猛毒と言われているが、識者によって見方はいろいろあるようだ。
中部大学の武田邦彦先生の見解を紹介する。
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以下武田先生のブログより一部引用
プルトニウムの毒性は次の三つです。(※補足:一般的に言われているようなプルトニウムの毒性)
1. 放射線が強い、
2. 放射線の中でも体の表面や内蔵の表面を損傷する、
3. 人体へ特別強い毒性を持っていると言われている。

過去の文献、資料から推察するとプルトニウムの毒性は次の3つと考えられる。(※武田先生いわく)
1. 放射線は強いのですが、放射線の量を常に測定して管理しておけば、他の放射性物質と同じと考えられる、
2. 放射線の中でも体の表面や内臓の表面を損傷する特徴があるが、これもプルトニウムばかりでなく他の放射性物質でもその程度は同じ、
3. プルトニウムだからといって人体に特別な毒性はない。
外から来る放射線は人間にとって「どの放射性物質から出ている放射線か」かということをわかりません。放射線の種類やエネルギーによって人体に対する影響が決まるだけです。
(※補足:プルトニウムの放射線だから特別扱いという考えは成り立たない)
プルトニウムか体内に入った場合ですが、ほとんどは口から入ったら、胃や腸を通って比較的早い時期に排泄されます。その時に、消化器官の表面に放射線があたりますが、これもプルトニウム以外の放射性物質と同じです。
このようなことから、プルトニウムだから毒物だということないとの判断です。
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(※補足:武田先生が誤解を招きやすい表現をされているのですが、丁寧に言い換えると、プルトニウムという化学的毒性は認められず、プルトニウムの出す放射線が有害であると言いたいと思われる。
さらに付け加えると化学的に毒物でない放射性物質はすべて毒物ではない。放射性物質の出す放射線が有害なだけである。)
(世間一般では放射線を出す放射性物質はイコール毒物であると考えるのが普通だ。厳密に言えば武田先生の言うように化学的毒性がなければ毒物ではないのかもしれないが・・・)

武田先生の結論として・・・
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ウラン濃縮研究をしているときに、ウランとプルトニウムの人体内での振る舞いがかなり似ていることを知りました。
ウランもプルトニウムも下記と同じことが言える。
1. 比較的、消化器表面を損傷する放射線を出すこと。(アルファ線は細胞組織の奥深くまでは届かない)
2. 人間にとってウランもプルトニウムも必要のない元素なので口から入ったら比較的短時間で排泄されること。
3. ウランやプルトニウムは腎臓に行きますが、それは排泄のためであり、だから早期に排泄されること。
4. ウランを間違って飲んだ例では、障害がでていないこと等。
このように、ウランやプルトニウムが人間に対して強い毒性を持たないのは、人間が使う元素ではないということが決定的な理由だ
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と武田先生は結んでいる。
結局何を言いたいのかわかりづらいが、推測を含めて言い換えると、化学的毒性が認められないので経口摂取の場合は人体に無毒である。しかも一定の時間で体外にほとんどが排泄される。
排泄されるまで、アルファ線による多少の被爆はあっても、ウランを間違って飲んだ例で障害が出なかった事実があるので、プルトニウムを飲んでも大丈夫。
と主張されているようです。もしかしたらプルトニウムって食べても以外と平気?
先生の主張を読むと、放射性物質は無害無毒に思えてきます。かなり安心できそうなのでさすが学者先生と言いたいところですが、筆者は何か納得いかない。
同じ放射性物質なのにプルトニウムだけ特別扱いや差別をするなという部分は理解できないこともないが、放射性物質によって半減期も大きく異なるし、呼吸器による人体への取り込みについてはそのリスクの指摘がない。
人体のどの部分に影響を与えるかについても放射性物質の種類で異なる。
武田先生はプルトニウムの毒性というその意味を一般人の思考とはかけ離れた次元で論じていると思われる。
我々一般人が知りたいことは、どのような放射性物質がどのような方法でどれだけの期間、人体のどの組織にどれだけの被爆量をもたらす危険があるかを心配している。
そして、被爆がもたらす将来的な健康被害のリスクが高まることを心配している。
化学的毒性がなければ青酸カリのようにすぐに死ねないのはみんな知っている。
広島や長崎の放射線被爆がもたらした悲劇を知っているからこそみんな心配なのだ。
放射線を出す物質を人体に取り込んで健康にいいわけはない。寿命をはるかに超える半減期のプルトニウムが微量でも体内に蓄積されたら一生体内被曝から逃れられない。
例えば被爆によって10人のうち9人は大丈夫かもしれないが1人ががんにかかったり、不妊になったり、生まれた子供に影響が出たりすることが恐怖と感じている。
10人中の1人にとっては猛毒であることに変りはない。半減期の長いものは短いものに比べてリスクが高い。リスクが高い放射性物質を猛毒と考える。
環境に放たれた放射性物質が、消えてなくなってくれればいいが残念ながら消えてはくれない。海洋生物の食物連鎖で濃縮されれば、沖縄で生活していてもプルトニウム入りのかまぼこを食べてしまう危険はある。
レトルト食品や缶詰にプルトニウムが混入する可能性だってある。経口摂取は比較的リスクが低いというが、それを考慮した上での暫定基準値があるのだから、プルトニウムを摂取して基準値を超えれば危ないと考えるべきだ。

プルトニウムの毒性とは化学的な毒物としての次元の話ではなく、放射線が及ぼす人体への影響の次元で論ずるのが普通と思う。
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