2号機の使用済み核燃料プールの水を分析した結果、燃料棒が損傷している可能性が極めて大きいとされる。
以前から運転中の炉心の燃料棒については「一部溶融」または「溶融」と「メルトダウン」などの報道はされてはいたが、2号機の核燃料プールについては燃料棒の損傷はないとされてきた。
これは大変ショッキングなニュースといていい。
何故なら、東電は今後の工程表の中で6ヶ月から9ヶ月で原発から漏れ出る放射性物質をほとんど外部に影響のないレベルまで押さえ込むとしていた。
工程表の発表ニュースから1日で計画が早くも頓挫したに等しいといっていい。
2号機の使用済み核燃料プール内の燃料棒が損傷しているとなるとミスト状になった放射性物質が水中に溶け込み高レベルの汚染水で施設内が充満する。
作業計画の前提が狂ってしまうわけだ。
復旧作業のほとんどを人的作業に頼らざるを得ないが、作業する人間の上限の被爆量の限度があるから、1人の人間が作業できる時間には限りがある。
高レベル汚染では作業時間が十分確保できず、実質立ち入ることができない。
今回、汚染の調査のため、2号機燃料プールにつながっているタンクの水の放射性物質を分析。
ヨウ素131が1立方センチ当たり4100ベクレル。
セシウム137が1立方センチ当たり15万ベクレル、セシウム134は1立方センチ当たり16万ベクレルだった。
「セシウムが異常に多い」ことは原子炉内の燃料から出た場合の測定値とは異なりプール内の使用済み燃料が損傷した可能性が高いと東京電力ではみている。
2号機プールには核燃料棒を束ねた燃料集合体が615本入っている。
一方、経済産業省原子力安全・保安院はプールの燃料ではなく、原子炉内から漏れた可能性が高いとみている。
使用済み燃料は長期間冷却されており、半減期の短いヨウ素131が高濃度で検出されるのは不自然と説明している。
原子炉から出た放射性物質が格納容器の外に飛散し、燃料プールに入ったと考える方が自然という。
いずれにしても、2号機に限らず原発ユニット全体の状況把握がままならない状態であることは明らかで、それにもかかわらず出てきた工程表というのはどれほどの信頼性があるのか疑問だ。
今後も「想定外」を繰り返し、工程表や復旧計画が大幅に変更を余儀なくされ、そのたびに政府や東電の言い訳を聞かされることになるのではないか。
いまだに甘い見通しか立てていないとすれば政府も東電も信用できない。

外観は一番まともに残った福島第一原子力発電所2号機(手前から3番目)
福島第一原子力発電所2号機
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