福島原発事故を受けて将来の日本の電力供給の姿がどうあるべきか議論が活発になってきた。

従来の政府の方針では原発を日本のエネルギー政策の中核として位置づけている。
2030年には電力供給のなんと50%を原子力発電でまかなう計画だ。

-------------   2009年-------2030年

自然・再生可能エネルギー#### 9%-----→ ---30%
原子力発電############### 29%-----→ ---50%
化石燃料#################61%-----→ ---20%

2030年に原発による電力供給が50%とはめちゃくちゃ高い。
問題点1 供給バランスが悪い。準国産の供給率を高めようという意図は理解できるが、今回のような原発事故で原発の発電を止めざるを得なくなった場合は全国的に電力不足が起き、今回の計画停電の比ではなくなる。
日本中の経済も生活も大混乱だ。電力の安定供給という意味で原発に頼りすぎると恐ろしいことになりはしないか。

今考えなければならないことは約3割の原発による電量供給を今後減らしていくのが良いか増やしていくのがよいかという点だ。地球温暖化、CO2削減の観点からは原発は確かに貢献度が高い。
しかし、安心、安全という大前提が崩壊した今となっては地震国ニッポンにあのような原発施設を運用することそのもが否定的な方向になっていくと思う。大災害、大震災に対してはどのような安全対策をとろうとも限界がある。
災害以外にも、戦争やテロなどの有事に対し原発施設を守れるのかという危機管理上の問題も怪しい。

少なくとも、今後増やしていくという方向ではなく、新たな原発施設の建造をやめ、危険度の高い立地にある原発に関しては順番に運用を停止、または耐用年数がきたら廃炉ということにして、40年から50年かけて、研究開発を目的とした原発施設を除き、商業運転はすべて廃止の方向が望ましいのではないか。

そのようなことが可能かというと、おそらく十分可能と思う。
今の利権構造に縛られた独占供給体制をやめ、小規模、分散型の発電施設を整備すれば十分可能だ。

工場や事業所などでの生産設備をまかなう電力(商業用電力)は世界一高い。
だから今でも大きな工場などでは、電気は自分の工場の発電施設で発電をして、余った電力は東京電力に売っている。早い話、電気料金が高すぎて、電力会社から買うのがばかばかしい料金なのだ。
設備投資や減価償却、発電のための電量などの費用をすべて考慮しても電力会社から買うより自分のところで発電したほうがよっぽど安く十分おつりがくる。
自家発電+自然・再生可能エネルギーを活用した発電施設を大規模な工場でどんどん電気を周辺地域に販売すれば東京電力のみに供給を依存しなくて済む。

家庭用電力の供給に関しては太陽光発電が主役になるだろう。エネファームなどガス発電もある。
一戸建てじゅうたくにおいては、ほぼ100%自給自足の発電が可能と思う。

自然エネルギーの話になると、天候に左右されるとか夜は発電しないという人がいるが、家庭用の大型蓄電池が普及すれば全然問題ない。発電設備や蓄電池一式で300万以内なら普及も徐々に進む。ほぼ100%自給子息が可能なら毎月の電気代を10年間払うことを考えれば各家庭が自前で発電しても経済的にペイするであろう。

コストが合わないのとそれを普及させるような政策、補助金などがないから普及しないだけで、技術的にはすぐにでも可能なのだ。普及が進むにつれて太陽光発電のコストや大型蓄電池の価格もどんどん下がる。
いずれは普及率が50%とか60%とかになるであろうし、そこまで普及すれば日本全体としてみても電力不足の不安もなっくなるし、CO2削減もできるし、化石燃料の依存度も減らせるし一石三鳥だ。

原子力がコストが安いというのが売り文句だったが、今回の原発事故で、最終的に社会全体が負担しなければならない経済的な損失は何兆円にもなるだろう。すでに一番コストの高い発電が原発といってもいいくらいだ。
地震の少ない国なら原発という選択も悪くないが、日本は他の国と違い自然災害や大地震が頻発する国土だ。
このような国土に原発を運用することを国際社会が容認しなくなることも十分考えられる。
原発が一度事故を起こすことで取り返しのつかない放射能汚染に襲われることをあらためて実感することになった良い教訓と考えて、原発一辺倒のエネルギー政策は葬り去るのが日本国家のためであろう。
所詮、どのような安全対策をとっても絶対ということはない。「想定外だから原発事故は仕方がないね」では済まされない。ほかの手段で日本の電力をまかなえるのなら方針を変更すればそれで良い。
それでは都合が悪いと必死になって原発の必要性や優位性を唱えるのは原発村の利権を守りたいがゆえに必死になってるに過ぎない。
いきなり原発をやめろとは言わない。新しく建造しなければ遅くとも50年先にはすべて廃炉になっている。
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