焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」(フーズ・フォーラス 勘坂康弘社長)で発生したO-111集団食中毒、腸管出血性大腸菌の被害が拡大している。
福島原発事故では今のところ直接的な死者は出ていないが、焼肉を食べに行って死者が4人も出ている。6歳の子供が2人も犠牲になった。ユッケが焼肉屋から次々と姿を消しているが、生肉がこれほど恐ろしいものとは・・・。
O-111とはなんだろうか?
腸管出血性大腸菌 O-111
経過と症状 [Wikipedia]

加熱の不十分な食材から感染し、100個程度という極めて少数の菌で発症し感染症・食中毒をおこす。そのため感染者の便から容易に二次感染が起こる。
この菌はベロ毒素を作り出す。ベロ毒素は、大腸の粘膜内に取り込まれたのち、リボゾームを破壊し蛋白質の合成を阻害する。蛋白欠乏状態となった細胞は死滅していくため、感染して2 - 3日後に血便と激しい腹痛(出血性大腸炎)を引き起こす。また、血液中にもベロ毒素が取り込まれるため、血球や腎臓の尿細管細胞を破壊し、溶血性尿毒症症候群(急性腎不全・溶血性貧血)急性脳症なども起こることがある。急性脳症は死因となることがある。
牛等の糞便等から検出されており、その肉に付着する可能性が高い。その防止のためと畜場では施設改装し対応を行った。なお、牛に感染しても無症状である。
加熱に弱い菌であるため、ハンバーグ等挽肉を原材料とする食品は、その中心温度を75.1℃以上に加熱することが、感染を防ぐために必要である。
また、生レバー、生センマイなどなどは殺菌していないので、子供や高齢者など抵抗力が低い者はこれらを食べないことが最大の予防となる。
下痢止めを服用すると、ベロ毒素が排出されないため、重篤もしくは死亡する。


まれな大腸菌O111は高い重篤な疾患率の原因 
2010-10-14 (ロイターヘルス)発 

By Rob Goodier
ニューヨーク(ロイターヘルス) ‐ オクラホマで2008年に大規模な集団発生を引き起こした血清型の大腸菌(Escherichia coli[E. coli])O111は、相当数の患者において、周知の大腸菌O157の典型ではないパターンで溶血性尿毒症症候群(HUS)をもたらした。

同所見をきっかけに、公衆衛生担当官は、細菌性下痢が疑われる時は、鑑別診断にO111およびその他O157以外の血清型を含めるように呼び掛けている。同研究者らは、Archives of Internal Medicine誌10月11日号で、「大腸菌O111は、ヒトにおいて重篤な疾患を引き起こす可能性があり、米国内で以前に認識されたよりもはるかに広範囲に、出現する可能性がある、あるいは少なくとも存在する」と記している。

研究者らが初めて疾患およびO157以外の血清型によるHUS発病率の特徴を明らかにできたのは、オクラホマO111集団発生の時であった(大腸菌O26に次いで、O157は米国では胃腸感染症に関係する最も一般的な血清型である)

HUSを伴うO111症例の割合(17%)は、O157に関して報告された率と類似していたが、年齢分布は著しく異なっていた。

大腸菌に関連のあるHUSは通常、低年齢小児が罹患するが、同著者らは、2008年に「最も罹患率が高かったのは年長の小児(年齢範囲、10歳~17歳)で、入院した人のほぼ3/4およびHUS患者の半分は成人であった」と報告している。

「臨床医はHUSを子供と関連づけて考えることが多いため、本疾患の発生において、成人のHUS症例比率がこんなにも高いことを発見して驚いた」と同研究を主導した米国疾病対策予防センター(CDC)のDr. Emily Piercefieldは電子メールでロイターヘルスに述べた。

Dr. Piercefieldらは、米国で最大級である既知のO111発生において、オクラホマにある地元のビュッフェレストランで大腸菌O111に感染した156名の記録を研究した。72名は入院し、26名(16.7%)はHUSを発症した。

今日まで重篤な疾患を引き起こす可能性が認識されていなかったため、ほとんどの検査室で、細菌性下痢の疑いのある患者にO111およびその他O157以外の血清型のスクリーニングを行っていない。

「大腸菌O111および他O157以外の血清型を検出する検査は利用可能であり、下痢性疾患に関与する可能性のある大腸菌のすべての血清型を確実に見つけ出すためにO157検査と併用すべきである」とDr. Piercefieldは述べた。「患者がこれらの血清型に感染していることがわかれば、医療提供者はHUSの初期症状を見逃さないよう気を配ったり、その後のよりひどい合併症を食い止めるためにもっと積極的に患者を治療することができる」

その勧告はO157のみではなく、O157以外の血清型も検出するために志賀毒素の検査を勧めるCDCガイドラインと一致する(http://link.reuters.com/jyk58p参照のこと)。

2006年に米国でO157以外の血清型による報告症例は37,000件であったのに対して、O157による症例は73,000件であった。あるオーストラリアの研究は、O111はO157以外の血清型に関連したHUS症例の半分を占めることを明らかにした。
http://link.reuters.com/hyk58p
Arch Intern Med 2010.


【動画HowTo】O111とは、どのようなものでしょうか?
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