「メルトダウン 連鎖の真相」 7月21日にNHKで放映された番組では、あらためて原発再稼動の問題点が浮き彫りにされた。
安全宣言を出した野田政権のいい加減さに腹が立つ。

番組内容をまとめてみよう。

■2号機が最悪の状態に陥り、大量の放射性物質を撒き散らした原因。

【1】.メルトダウンを防ぐには注水が不可欠だったが、炉心温度が上昇し、原子炉の圧力が異常に上昇した結果、
SR弁を開放して圧力を下げなければ注水ができない状態にあった。

【2】.SR弁に構造上の欠陥があり、原子炉の圧力が異常に高い状態の時はSR弁を開くための圧力の方が低く、決してSR弁が開くことはない。
従って、原子炉(圧力容器)の圧力を下げることができず、決して注水して冷却することができない。すなわち、メルトダウンに向かって一直線。

【3】.メルトダウンが始まり、圧力容器が破損し、原子炉格納容器全体が放射性物質で汚染され、最後には原子炉格納容器も破損し、大量の放射性物質が撒き散らされた。
原子炉格納容器も破損を防ぐための最終手段として、ベント弁を開放するためのあらゆる努力が行われたものの、2号機においてはベントができなかった。
その結果、原子炉格納容器内のどこかで爆発が起き、大きく破損したため、原子炉格納容器内の圧力がゼロになり、注水してもダダ漏れの状態に。
2号機の格納容器の破損と同時に、大量の放射性物質が飛散、国土が汚染された。
ベントを行うことで放射性物質が撒き散らされるが、原子炉格納容器の大規模な破損に至らなかった1号機、3号機は水素爆発は起こしたものの、2号機に比べて放射性物質の飛散は少なかった。

【4】.3号機も同様にSR弁を開くことができなかった。SR弁を開くことができれば、ベントをせずに少ない被害で抑えられた可能性がある。

【5.ベントさえもできなかった2号機だが、ベント弁を開く最終手段として、電動コンプレッサーで弁を開くための圧力をかけたものの、圧力を送る配管が50メートル以上と長く、地震によって配管の破損、亀裂などで圧力がかけられず、ベント弁が開くことはなかった。

【6】.ベント弁に圧力を送るための設備の耐震性が低く、実際には耐震基準の3倍を超える地震が福島第一原発を襲った。

【7】.事故直後、電源が喪失したことで一刻も早い電源供給が必要な状況にありながら、調達されたバッテリーは必要とする12Vの規格のものではなく役立たずの2Vのバッテリーが届けられた。

【8】.電源車や発電機を始め、危機に直面している福島原発が支援物資を一刻も早く必要としていたのに、小名浜まで支援物資が運ばれたものの、放射能被害を恐れて福島原発まで物資が運ばれることがなかった。


■明らかになった問題。第2の福島原発事故はまた起きる。

※福島第一原発と同じSR弁の欠陥構造を持った沸騰型原子炉が国内に26基もある。
※最終手段であるベントを行うための設備の耐震性は、原発設備全体の中で最も低いCランク。
※従って、大きい地震によってベントを行うための設備がまず最初に機能を失ってしまう可能性が極めて高い。
※原発がある以上、想定外の事故が起きるものだという発想がそもそもない。
※従って想定外の事故の際の支援体制が全くない。

これらの問題を放置したまま、無理やり安全だといっている野田首相は頭がどうかしている。
原発の必要性については賛否両論だが、少なくとも絶対安全はないのだから、「こういうリスクがありますよ」と言った上で再稼動するのならまだわかるが、「福島のような事故は起きない」と言って再稼動させたのだから、またまた国は国民を騙してることになる。
いつかはわからないが、このままでは第2の福島原発事故はたぶん起きる。何故なら絶対安全でないものを安全だと言ってしまった以上、万が一の際の対策はやらなくていいことになるからだ。
事故によって高い放射能で汚染された原発施設をどうやってメルトダウンから救うかという対策が行われることはないだろう。
こういう馬鹿なことがまかり通るようなことを許していいのか。

原発を必要とするなら、「原発がある以上、想定外の事故が起きるもの」という前提に立って、万が一の時に被害を最小限に食い止めるための体制を整えるべきだ。
アメリカの場合、万が一の事故に備えて、放射能に汚染された原発施設に支援物資を送る化学防護隊があるそうだ。
その際、彼らには危険な原発に行くか行かないかを検討する選択肢はないそうだ。どんな状況であっても真っ先に支援に行くという選択肢のみあるそうだ。

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