チェルノブイリ原発事故と福島原発事故は将来に大きな負の遺産を残したという点では共通している。
私は福島原発事故の健康被害の恐ろしさは今後、長い時間をかけて徐々に表面化すると思っている。
政府が強弁していたように直ちに健康被害が出ることは滅多にはないからだ。
国連機関は、チェルノブイリの放射線被害による死者は将来も含め4千人と推計しているが、さらに多く見積もる研究機関もある。
ウクライナの研究者によると1990年以降、子供を含む6400人以上が甲状腺ガンで手術を受けたとしている。
チェルノブイリの今を見れば福島原発や日本の未来が見えてくる。
チェルノブイリ原発事故は核燃料ごと大爆発を起こし広範囲にわたって死の灰を撒き散らした。
ほとんどの放射性物質は爆発とともに飛散してしまったので、大量の放射性物質の拡散は10日程度で収まったといわれているが、原発周囲は人を寄せ付けない高レベルの放射能汚染が何年も続いた。
原発内部には溶融して固まった燃料棒の残骸が今も残っている。
高レベルの放射線を浴びる環境で何千人、何万人という人間が非人道的な扱いで原発処理(石棺工事)にあたらされ、尊い人命と引き換えに一応の事態の収束に至った。
しかし半減期の長い放射性物質は今もなお大地に残ったままだ。現在も尚、発電所を中心に「10kmゾーン」「30kmゾーン」の管理区域が設定されている。
原発から300キロを越えた地域でも高濃度汚染地域が点在し、農業や畜産業が禁止されている地域もある。
2000年4月26日の14周年追悼式典での発表によると、ロシアの事故処理従事者86万人中、5万5千人が既に死亡している。
ウクライナ国内(人口5千万人)の国内被曝者総数342.7万人の内、作業員は86.9%が病気にかかっている。
続きを読む